家業の花き生産を継ぐ前準備としてハクサンで研修をされています。

実家が関東で花や野菜の生産を行っており、米と野菜の生産に関しては父の代で15代目、花の生産は曽祖父の代から始まり、自分が継ぐと4代目になります。大学を卒業して、まずは花の生産を基本から学びなおさなければということで、ハクサンの生産農場で研修をしています。

早くから家業を継ぐことを決めていたのですか?

いえ、学生時代は花の生産を仕事にするつもりはなく、ライフデザインを学んでいました。文字通り「生活をデザインする」する分野で、ライフスタイルが多様化するなか、誰もが暮らしやすい空間や社会の在り方を考え、設計し、どう実現していくのかを追及していく学部でした。

その中で自分は福祉系のライフデザインを専攻していたのですが、テーマとして「農福連携」に興味を持つようになりました。 大学で学んでいた福祉と、家業である農業、その2つが偶然クロスして「農福連携に力を入れる花の生産者になる」という大きな目標ができたのが、生産者になろうと決めたきっかけです。

社員の声10-2

花の生産における農福連携とは、具体的にどのようなイメージなのでしょう?

まだ漠然としているのですが、自分なりに思い描いている取り組みのひとつが障がい者雇用です。

日本の農業分野でも少しずつ障がい者雇用が増えてはいますが、どうしても季節労働的であったりして、長期的にいきいきと働ける生産農場は少ないと感じています。都市部の花の農場であればなおさらですね。自分が生産者として独り立ちする時には、障がいのある方に花の生産に継続的に携わっていただくことで、長期的に活躍してもらえる仕組みをつくりたいと考えています。

一方で、農福連携をテーマにすることは、言い方は良くないかもしれませんが、これから花の生産をしていく上での「武器」にもなると思っています。

祖父はシクラメン、父はベゴニアの生産が得意で差別化を図ってきましたが、じゃあ自分は?と考えたときに、作る植物の種類ではなく、福祉の部分を組み合わせることで、雇用や社会との関わり方も含めて、これからの時代に合った生産経営にチャレンジしたいと考えるようになりました。

生産者を志す若者をバックアップ!
ハクサンの研修制度で基礎を学ぶ

ハクサンでの農場研修は、どのような流れで実現したのでしょう?

就農する前準備として、まずは花の生産について基本から覚える必要があったのと、同時に農福連携の先進国に行って、その実例を見て学びたいという想いがありました。

そこで、祖父の代からつながりがあったハクサンに相談したところ、ハクサンの農場と海外のパートナー育種会社とで、1年ずつ研修させていただけることになりました。

社員の声10-3

ハクサンでの研修は、Iさんだけの特例だったのでしょうか?

いえ、ハクサンでは以前から、家業の花き生産を継ぎたい人や、将来花の生産を仕事にしたいという人を積極的に農場研修生として受け入れる制度がありました。生産者の高齢化が課題となるなかで、次の世代の生産者のバックアップにも力を入れてくれています。

研修期間や内容は人によってさまざまで、1年で研修を終える人もいれば、生産技術を深めようと2年3年とハクサンのいろいろな農場で経験を積む人もいます。

海外研修については、ハクサンがすべて段取りするわけではなく、自分の希望に沿って、研修先の紹介や渡航準備などをサポートしてもらえます。ただ、誰でも海外研修をサポートしてもらえるわけではなく、会社として自信をもって研修受け入れ先に紹介できるのか、本人のやる気とハクサン農場での研修ぶりから判断すると聞いています。

幸い自分はその条件をクリアできたのと、農福連携の先進国事例も学びたいという希望があったのでそこも考慮していただき、ハクサン農場での1年間の研修後、オランダの種苗会社で研修できることになりました。

実際に農場で研修をしてみた感想は?

親の仕事を見て断片的に知っていた作業が、点と点が線で結びついて理解できていくようで楽しかったですね。

一方で、花の生産現場の雰囲気は知っていたものの、実際に自分で経験するとやっぱり大変です(笑)。体力的にキツイというのもありますが、花は言葉を発しないので、こちらが花に寄り添って状態を察してあげることの大変さがあるのは発見でした。

水やりなど時間設定で自動化できることも多いのですが、やはり相手が生き物なのでピンポイントで花の表情を見て対応してあげることが、良い花苗づくりにつながると改めて実感しています。

社員の声10-4

研修農場の雰囲気や環境はどんな感じなのでしょう?

雰囲気はとても良く、分からない事があっても親身に教えてくれるため働きやすかったです。

一方で立地環境は…想像以上に田舎です(笑)。自分がいたのは愛知県の旭農場ですが、最寄りのコンビニが車で10分のところに1軒。シカやイノシシに遭遇するのは日常茶飯事です。でも、研修期間にそうした環境に身を置いて、花の生産に全力で向き合えたことは貴重な財産になりました。 3ヵ所にあるいろいろな農場で研修をしてみて違いを感じてみるのも糧になりそうです。

研修期間中の休日の過ごし方や、プライベートな趣味について教えてください。

会社の寮があるので自分も研修中は寮生活でした。とはいえほとんどひとり暮らしと変わらないので、退勤後や休日は自由に過ごしていました。そういえば先日、寮にドイツからの研修生も加わり、一緒に農場で働いています。ハクサンでは日本から海外への研修サポートだけでなく、海外から日本への研修受け入れも行い、海外パートナー企業との交流を図っています。

社員の声10-5

趣味はバイクで、今も5台所有しています。 プライベートで最近うれしかったのは、全日本ロードレース選手権が開催されるサーキットで走行デビューしたことです。趣味での目標はレースに出場することです!

社員の声10-6

国内研修を経て、
農福連携の先進国オランダへ

1年間の国内農場研修がもうすぐ終わり、次はオランダでの研修が控えています。

国内農場で花の生産の基礎を学ぶ第一ステップを終え、2024年の6月から1年間、希望していたオランダの種苗会社で研修をさせていただきます。

オランダでは花の生産技術だけでなく、農福連携の先進的な取り組みを学ぶ機会も頂けるのでとても楽しみです。

ハクサンでは海外の種苗会社とも幅広くネットワークがあるので、もろもろの条件や希望がマッチすればですが、将来自分がなりたい方向性を相談しながら海外研修を後押ししてくれることもあります。

自分一人の力ではハードルが高い海外研修など、これから花の生産をやっていこうと考える私たちのような就農希望者をサポートしてくれるのはとてもありがたいです。

何もわからなくても、まずは飛び込む!
学びたい想いがあれば受け入れてくれる

Iさんのように農場での研修を考えている方にメッセージを!

ハクサンでは長年、就農前の準備として生産の研修生を受け入れてくれてきた実績があります。

自分の場合は、父が生産者としてハクサンとつながりがあったことから研修の話へと進みましたが、つながりがなくても、「学びたい!」という気持ちがあれば、その想いを受け止めてくれる環境があると感じています。

私自身まだ、さまざまなことを吸収している段階ですが、今は何も分からなくても、まずは飛び込んでみる!そこで見えてくる景色を大切につないでいきながら、自分の夢を具体化していければと思っています。

社員の声10-7