花の種類が少なくなる秋冬の季節、部屋やエントランスを華やかに彩ってくれるのがシクラメン。毎年新しい品種が発表され、どれにしようか選ぶ楽しみも増えています。今年はシクラメンの花で華やかな秋冬を過ごしませんか。

ここでは、来年も楽しむためのシクラメンの育て方やおすすめ品種をご紹介します。

シクラメンとは

シクラメンを育てよう

シクラメンはサクラソウ科シクラメン属の多年草球根植物で、もともとは北アフリカ~地中海沿岸地域にかけて自生していました。
冬の間お部屋で楽しむことのできるシクラメンのほかに、寒さに比較的強く改良された屋外で鉢や花壇に植えて楽しむことができるガーデンシクラメンがあります。

シクラメンは種類も豊富で、毎年さまざまな品種が生まれています。花色も葉色も模様も形も香りもたくさんの種類があり見応えたっぷり!花の少ない冬を華やかに彩ってくれるのが大きな魅力です。

シクラメンの花言葉

シクラメンには「遠慮」「気後れ」など控えめな印象の花言葉がありますが、花色によっても様々な花言葉が存在します。

シクラメンの花色花言葉
白いシクラメン清純
ピンクのシクラメン憧れ、内気
赤いシクラメン嫉妬

シクラメンの誕生花

シクラメンを誕生花とするのは、1月14日、12月7日です。

シクラメンの基本情報

開花期秋~春(10~3月頃)
学名Cyclamen persicum
分類サクラソウ科シクラメン属
和名ブタノマンジュウ(豚の饅頭)、篝火花(かがりびばな)
原産国北アフリカ~地中海沿岸地域
植物の種類半耐寒性多年草 品種によって様々あります。
最低温度約3℃ 品種によって差があります。
置き場所日なた、半日陰、明るい室内
花色赤、ピンク、白、紫など
特徴花形や花模様だけでなく葉型も様々で、毎年新品種が次々と発表されています。
花の少ない冬を華やかに彩ってくれる温かみがあるお花です。

冬のシクラメンの育て方

シクラメンを育てよう

一般的なシクラメンは寒さに弱いので、開花期は室内の日の当たる窓辺などに置いて楽しみましょう。テラスなどの軒下や花壇で楽しめるガーデンシクラメンもあるので、品種ごとの耐寒温度に注意して置き場所を選びましょう。

シクラメンのかかりやすい病気には、灰色かび病軟腐病があります。灰色カビ病は、気温の低い時期に花や葉にかけた水がなかなか乾かないと発生しやすくなるので注意しましょう。水やりをする時は花や葉、球根に水をかけないようにして予防します。底面吸水だとその点安心です。

1
日あたり育てる場所

お部屋で育てる場合
なるべく日あたりがよい場所で育てましょう。シクラメンは、日光が足りないと、葉が黄色に変色したり枝が徒長したりします。5~20℃が最適な温度になります。夜冷え込む場所や昼に暖房器具で暖まり過ぎるようなことがない場所で育ててください。
屋外で育てる場合
軒下など寒風や強い霜が直接あたるのを避けた場所で管理すると株が傷みにくく、連続開花しやすくなります。シクラメンは、霜が降りると株が傷みます。特に寒い日は不織布などを被せるような防寒対策をしてください。

2
水やり

鉢の土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげてください。目安として週1~2回程度になります。水やりをする時は、花や葉、球根に水がかからないようにしましょう。

3
肥料やり

開花中は、液体肥肥料(1,000~2,000倍に希釈したもの)を1〜2週間に1~2回程度あげてください。

4
花がら摘み

花が咲き終わり萎れた花や枯れた葉は、手でねじって引っ張るようにして取り除きます。詳しくは花がら摘みのやり方を参照ください。

5
葉組み

葉が生い茂ってきたら、葉組みをして球根に日光があたるようにしてください。詳しくは、葉組みのやり方を参照ください。

シクラメンの花がら摘みのやり方

シクラメンの花が咲き終わったら、花がら摘みをしましょう。花がらを残しておくと、新しい花芽に栄養が行き届かなくなってしまいます。きれいな株姿をキープするためにも、病害虫を予防するためにも、花がら摘みをしましょう。

茎の根元から取り除く方法

シクラメンの花がら摘みは、茎の根元から取り除く方法が一般的です。

花がらはハサミで切り取るのではなく、手でねじって茎の根元から取り除きましょう。ハサミで切り取ると、切った切り口から細菌が入りやすくなるので使用しない方がよいです。

花だけを取り除く方法

プロの生産者さんによっては、茎の根元から花がら摘みをすると球根に細菌が入りやすくなるため花だけを取り除く方法を推奨する方もみえます。

シクラメンの花がら摘み

花だけを取り除く場合も、手でねじって花を切り取ってください。

シクラメンの花がら摘み

花だけを摘むと、茎がこのように残る形になります。最後カリカリに枯れたら自然に落ちます。

シクラメンの葉組みのやり方

シクラメンには、シクラメン特有のお手入れで葉組みと呼ばれるものがあります。葉組みには、風通しをよくして病害虫を予防するほかにも、球根の中心に日が当たるようにしてシクラメンの成長を促す目的があります。シクラメンを綺麗に咲かせ続けるには、是非マスターしたいお手入れになります。

シクラメンの葉組み
葉組み前の様子

シクラメンの葉が生い茂ってきて、球根に日光が当たっていないなと感じたら葉組みをするタイミングです。優しく葉をかき分けて、花茎の根元が中心にくるように、葉を外側へ移動させます。まずは大きい葉を一番外側へ引っ張り出し、さらに小さいを少しずつ外側へ移動させます。

シクラメンの葉組み
葉組み後の様子

花茎が中心に集まり、球根に日光が当たるようになりました。

シクラメンの枯葉取り

枯れた葉は、病害虫を防ぐためにも早めに切り取りましょう。花がら摘みと同じように葉の付け根をつまみ、軽くねじることで引き抜くことができます。

春のシクラメンの育て方

春はシクラメンの夏越し準備を始める季節です。シクラメンは、休眠させる方法(ドライタイプ)と休眠させない方法(ウェットタイプ)の2パターンの夏越し方法があります。

シクラメンの夏越し準備

シクラメンの花がひと通り咲き終わったら、花を切り取り、枯れ葉や枯れ枝を取り除きましょう。

シクラメンの夏越し準備

そして、梅雨時期ぐらいまでに休眠させる方法(ドライタイプ)と休眠させない方法(ウェットタイプ)のどちらで夏越しをするか選びましょう。

休眠させる方法(ドライタイプ)

メリット5~9月頃まで水やり不要でお手入れが簡単です。
デメリット地上部に何もないので、休眠期の夏は、枯れていないか心配になるかもしれません。
葉が茂った後に花が咲き始める分、開花が遅くなります。

休眠させない方法(ウェットタイプ)

メリット通年葉が茂っているので安心して育てられます
早くから花を楽しむことができます
デメリット通年水やりが必要になります。
シクラメンの夏越し(ウェットタイプ)

休眠させない方法(ウェットタイプ)で育てる場合は、夏も水やりが必要ですが、葉の状態を確認しながら安心して育てることができるというメリットがあります。

1
日あたり育てる場所

お部屋で育てていたシクラメンも、5月頃になったら直射日光の当たらない屋外の涼しい場所で育てるようにしてください。
休眠させる場合
雨のあたらない場所で育てるようにしましょう。
休眠させない場合
雨があたる場所でも大丈夫です。

2
水やり

休眠させる場合
春になり開花期が終わったら、徐々に水やりの頻度を減らし、最後は土が完全にカラカラの状態になるまで乾かします。
休眠させない場合
春になり開花期が終わったら、徐々に水やりの頻度を減らしましょう。鉢の土の表面が乾いて数日経ったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげてください。目安として週1~2回程度になります。

3
肥料やり

休眠させる場合
春になり開花期が終わったら、秋の生育期になるまで肥料はお休みしましょう。
休眠させない場合
液体肥料(1,000~2,000倍に希釈したもの)を2週間に1回程度あげてください。

夏のシクラメンの育て方

休眠させない方法(ウェットタイプ)で育てている場合も、もし地上部に元気な葉がなくなったら、休眠させる方法(ドライタイプ)に切り替えて育ててください。

鉢スタンド

休眠させる方法(ドライタイプ)で育てる場合も、休眠させない方法(ウェットタイプ)で育てる場合もフラワースタンドなどで風通しをよくすると夏越しがしやすくなります。

1
日あたり育てる場所

休眠させる場合
直射日光の当たらない屋外の涼しい場所で育てましょう。雨のあたらない場所で育てるようにしましょう。
休眠させない場合
葉焼けを避けるために、直射日光の当たらない屋外の涼しい場所で育てましょう。急激な環境変化により葉焼けすることもあるので、移動をさせる際や遮光ネットを外す際にも注意しましょう。

2
水やり

休眠させる場合
水やりはお休みしましょう。
休眠させない場合
鉢の土の表面が乾いて数日経ったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげてください。目安として週1~2回程度になります。

3
肥料やり

休眠させる場合
秋の生育期になるまで肥料はお休みしましょう。
休眠させない場合
液体肥料(1,000~2,000倍に希釈したもの)を2週間に1回程度あげてください。

近年の記録的な暑さにより、シクラメンの夏越しが難しくなってきています。シクラメンは、株の成長が進めば進むほど、耐暑能力が低下し、ダメージからの回復が困難になります。 また、鉢のサイズと比べて株が大きすぎる場合も、耐暑能力が低くなるので注意が必要です。

秋のシクラメンの育て方

1
日あたり育てる場所

涼しくなり植え替えが終わったら、日あたりのよいお部屋で育てるか、日あたりのよい屋外で育てるようにしましょう。

2
水やり

休眠させる場合
涼しくなり植え替えが終わったら、鉢の土の表面が乾いて数日経ったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげてください。目安として週1~2回程度になります。
休眠させない場合
鉢の土の表面が乾いて数日経ったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水をあげてください。目安として週1~2回程度になります。

3
肥料やり
シクラメンが葉や蕾をたくさんつけ始めます。栄養が必要になってくるので肥料やりを忘れないようにしましょう。

休眠させる場合
涼しくなり植え替えが終わったら、液体肥料(1,000~2,000倍に希釈したもの)を2週間に1回程度あげ始めてください。
休眠させない場合
液体肥料(1,000~2,000倍に希釈したもの)を2週間に1回程度あげてください。

4
植え替え

休眠させる場合
9月になり夏の暑さが落ち着き涼しくなってきたら、植え替えをします。植え替えの際に球根についている土を落として球根の硬さを確認してみましょう。柔らかいようであれば球根が腐ってしまっています。硬くカチカチであれば大丈夫です。根を半分くらいの長さに切り、一回り大きな鉢に植え替えましょう。球根が1/3程度頭が地上に出ている状態で植えてください。
休眠させない場合
9月になり夏の暑さが落ち着き涼しくなってきたら、植え替えをします。一回り大きな鉢に植え替えましょう。球根が1/3程度頭が地上に出ている状態で植えてください。

5
葉組み

葉が生い茂ってきたら、葉組みをして球根に日光があたるようにしてください。詳しくは、葉組みのやり方を参照ください。

シクラメンの魅力

花の少なくなる10~3月頃に花が咲くシクラメンは、冬に室内を明るく彩ってくれるありがたいお花です。上手に育てれば、半年近く長く楽しめるのも嬉しいポイントです。

シクラメンを育てよう

また、シクラメンの大きな魅力の1つは、花色・形・さらに咲き方などさまざまな種類があることです。

「どれも同じシクラメンに見える」「シクラメンの違いが分からない」という方には、是非葉の模様や咲き方の違いを手に取って見比べてみてください。よく見ると1つ1つの品種に個性があるのが分かるはずです。

複色や珍しい花色、花弁が波うったロココ咲きや八重咲きなど、色や咲き方などさまざまな品種があり、選ぶ楽しみも広がっています。

シクラメンの楽しみ方

シクラメンを育てよう

開花した株は大きめなものが多く豪華な印象もあるので、インテリアに合わせた鉢カバーを使ってラグジュアリーな空間作りにもおすすめです。咲き方や色の異なるシクラメンを何種類か、高さを変えて置いてもいいですね。

おすすめのシクラメン

ここでは、耐病性に優れた育てやすいおすすめのシクラメンをご紹介します。シクラメンの花は清楚なものから華やかなものまで、花色も形も豊富に揃っています。ぜひお気に入りを見つけて育ててみてくださいね。

イリュージア

革新と幻想のシクラメン イリュージア

イリュージアは、次々と上向きに花が咲き、株を覆いつくすほど豪華に花が咲き誇る幻想的なシクラメンです。​上向きに咲くから、その分花も大きく見えどこから見てもその魅力を楽しむことができるのが嬉しい点!​

反り返る外側の花弁と、突起状になる内側の花弁がなんとも幻想的で、さらにはやわらかいピンクカラーが、その愛おしさを倍増させます。

シクラメン ジックス

シクラメンジックス

鮮やかな色の花弁と白い花のような形のがくとのコントラストが美しい品種です。真横から見るよりも、やや上から見ると花姿が印象的。目線よりも低い位置に置いて眺めたいシクラメンです。
また、連続開花性に優れていて次々と花が上がってくるのも魅力。花もちが良いので長く楽しめます。

シクラメン ペチコート

シクラメンペチコート

普通のシクラメンは花弁が上に反り返りますが、ペチコートは下向きに咲くベル型の特殊なシクラメン。ふんわりとしたドレスが広がるようなラインが可憐です。花弁内側の模様も美しいので、少し高い位置に置いて楽しんでもいいですね。

シクラメン クレヨン

シクラメンクレヨン

珍しいストライプ模様の花が咲くクレヨン。バイオレット、ネオンピンク、サーモン、マゼンダなど花色も豊富。一株で淡く美しいグラデーションのような色合いを楽しめます。花上りが良く、美しくまとまった草姿にたくさんの花を楽しめるのも魅力です。

シクラメン リリベル

シクラメンリリベル

優雅で上品な印象のリリベル。人気のビクトリアタイプのフリンジ花とファンタジアタイプの白い縁取りが特徴。華やかで美しいバイカラーを楽しみましょう。

シクラメン アロハ

シクラメンアロハシャインレッド

波打った貝殻のようなぷっくりとした花弁、美しいバイカラーが特徴のシクラメン・アロハ。連続開花性に優れているので長く花を楽しめます。強健な性質で灰色かび病にも強いので育てやすい品種です。

シクラメン ゴブレット

シクラメンゴブレット

その名の通り、ゴブレットのように開いて咲くバイカラーのシクラメン。光輝くような華やかな色合いで連続開花性にも優れ、長い期間花を楽しめます。灰色かび病に強く育てやすいのも魅力です。

フレグラントシクラメン オドラ

フレグランスシクラメンオドラ

シクラメン オドラは、高貴な香りを楽しむことができるフレグラントシクラメンです。香りが楽しめるほか、花もちがよく鑑賞期間が長いスクネベルト社の自信作です。