クリスマスのシーズンになるとガーデンショップの店頭に並ぶシクラメン。華やかな姿で年末年始のお家を長く彩ってくれる人気の花ですが、意外と早くダメになってしまったという経験のある方もいるのではないでしょうか。

シクラメンを上手く育てられる自信のない方は、まずは室内で育ててみることから始めましょう。霜にあたる心配がなくなり屋外で育てるよりも大変育てやすくなります。ここではシクラメンを室内で長く楽しむためのポイントをご紹介します。

鉢植えシクラメンとは

シクラメン室内で上手に育てるには

12月頃になるとクリスマスや年末年始の人気の花として、さまざまな品種が出回るシクラメン。シクラメンには室内で育てる一般的なタイプと、花壇や寄せ植えなど屋外で育てられる耐寒性の強いガーデンシクラメンと呼ばれるタイプがあります。

鉢植えシクラメンとは、主に室内で楽しむ一般的なシクラメンのことです。10℃~20℃くらいの温度で快適に育ち、耐寒性が弱いため冬は屋外で育てることはできません。

鉢植えシクラメンの花の時期は秋頃から早春。上手に管理すれば冬の間ずっと室内を美しく彩ってくれるのが魅力です。

開花期秋~春
原産地北アフリカ~地中海沿岸
分類サクラソウ科シクラメン属
学名Cyclamen persicum
和名カガリビバナ、ブタノマンジュウ
花言葉「遠慮」「清純」「内気」
カラー別にも花言葉があります。
白:「清純」「思いやり」
ピンク:「内気」
赤:「嫉妬」
青:「遠慮」「恥じらい」

鉢植えシクラメン選びのポイント

根がぐらつかない

シクラメン室内で上手に育てるには

シクラメンを選ぶ際には、まず根がぐらつかないかチェックしましょう。もし少しでも根がぐらつく場合は、まだ根がしっかりと張っていない可能性があります。長い間楽しめるように、しっかりと根を張っている丈夫な苗を選びましょう。

葉の数が多い

ガーデンシクラメン

シクラメンの花は葉1枚につき1つ咲くとされています。つまり、葉の数が多いほど花が多いということ。葉の数が多くよく茂っていると光合成も盛んになるため丈夫に育ち、花数も多くなるのです。

葉のサイズが揃っている

葉の大きさにばらつきがないかもチェックしましょう。葉の大きさが揃っている株は栄養が偏りなく行き渡っているため、枯れにくく、長い間美しい花を楽しむことができます。葉の数と同時に、美しさを左右する花首の長さが揃っているかどうかもチェックしてくださいね。

花首の長さが揃っている

なるべく花首の長さが揃っているシクラメンを選びましょう。花首の長さがそろっていると株の姿が美しく見栄えがします。

ウォータースペースが深すぎない

ウォータースペース(土の表面から鉢の縁までの高さ)を深く取りすぎている鉢植えは、株元を葉が塞いでしまうため蒸れやすくなります。蒸れると病気が発生しやすいので、株元を購入時にチェックしましょう。

鉢の選び方

底面給水の鉢

シクラメン室内で上手に育てるには

シクラメンは過湿を苦手とします。そのため、水のやりすぎで枯らしてしまうという方も多いようです。そんな方におすすめなのが、底面吸水の鉢を使うことです。底面灌水とも呼ばれ、シクラメンなど過湿を嫌う植物によく用いられます。シクラメンを育てるのが初めてという方や苦手意識のある方は、底面吸水の鉢に植えられたシクラメンがおすすめです。

底面吸水の鉢は、鉢底の受け皿部分に水を貯め、土が乾いてくると鉢底から毛細管現象により必要な水分だけ吸い上げるという仕組みになっています。過湿による根腐れを起こしにくく、さらに水やりの頻度も減らることができます。

一般的な鉢

一般的な、いわゆる普通の鉢は、種類も豊富でさまざまなデザインを選べるのが魅力です。ただ、普通の鉢に植えているシクラメンは、球根に水がかからないように水やりに注意して育てなければいけません。水やりの際に鉢皿に流れ出た水も必ず捨てるようにしましょう。

水のやりすぎで花や葉にかかった水がなかなか乾かず過湿状態になってしまったシクラメンは、灰色カビ病や軟腐病という病気にかかりやすくなります。一般的な鉢に植えられたシクラメンの水やりは定期的に行うのではなく、土が乾いたか必ず確かめてから行いましょう。

購入したらまずすること

もし購入した鉢植えシクラメンがリボンや包装紙などできれいにラッピングされていたら、必ずラッピングを取りましょう。そのままにしておくと水やりをした際にラッピングの中に水が溜まって、シクラメンにとってはあまり好ましくない環境になってしまいます。

ラッピングされた姿をしばらく楽しんだ後は、ラッピングを取って鉢皿の上において育ててくださいね。

鉢植えシクラメンの育て方

1
温度差に気をつける

シクラメン室内で上手に育てるには
鉢植えシクラメンは急激な温度差が苦手です。室内に置いている鉢植えシクラメンの元気がなくなってきてしまうのは、昼間は暖かいのに夜間の室温が低すぎるなど、温度差が大きいことが原因の1つです。特に温度差が大きい窓辺は注意が必要です。夜は温度差が少ない部屋の中央などにおいてあげましょう。

2
水のやりすぎに注意する

シクラメンジックスの水やり
シクラメンは過湿が苦手です。花や葉にかかった水がなかなか乾かないと、灰色カビ病や軟腐病などの病気にかかりやすくなってしまいます。そのため、水のやりすぎには特に注意が必要です。
水やりのタイミングは土が乾燥してから。表面が乾いていても鉢の中の土はまだ湿っているということもあるため、土を触ってみて確かめてからあげるようにします。
水をあげる際は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりとあげましょう。葉や花、球根に水がかからないように気をつけながら、土の部分に直接水やりをしてください。

3
日の光にあてる

普段は室内に置いてあるシクラメンも、時には日に当ててあげると光合成が盛んになって元気に育ちます。10℃を越えるような日はベランダなど外に出し、外の風と日に当ててあげましょう。

4
肥料のあげ方

開花中は1,000~2,000倍に希釈した液体肥料を1~2週間ごとに与えましょう。花や葉にはかけずに、株元の土に置いてください。
肥料をあげるのは元気な株だけにしましょう。株が弱ってきている、葉や花がしんなりして元気がないと感じたときは肥料をあげずに様子を見てください。

5
花がら摘みのし方

シクラメンの花がら摘み
カビの発生を防ぐために、咲き終わった花はこまめに取り除きましょう。シクラメンの花がらは、ハサミを使うと切り口から細菌が入り込みやすくなるため、花が終わった茎の根元から手でねじって取り除く方法が一般的です。
プロの生産者さんの中には、茎は残して咲く終わった花の部分だけ手でねじって花がらを取る方も。残った茎はそのうちカリカリに枯れて自然に落ちます。球根に近い部分で取り除くよりも細菌が入りにくいといったメリットがある反面、茎が残るので見栄えが良くないというデメリットもあります。
花がら摘みはどちらの方法でもかまいませんが、いずれも咲き終わったらまめに取り除くというのがポイントです。

6
葉組みをする

葉組みとは
購入当初は株の中央にきれいに集まって咲いていますが、自分で育てているうちに、だんだん葉の隙間やいろいろな場所から花茎が上がり、葉も茂って形が崩れてきてしまいます。こうなった時に行いたいのがシクラメン特有の「葉組み」という作業です。葉組みは、風通しを良くして病害虫を防ぐと同時に、球根の中心に日光が当たりやすくなることでシクラメンの成長を促すために行います。
葉組みのやり方
シクラメンの葉組み
あちこちに向いて茂っている葉を優しくかき分け、花茎の根元が中心にくるようにそっと葉を外側へ移動させていきます。まず、大きな葉を一番外側に引っ張り出し、その後小さな葉を少しずつ外側に出るように移動させていきましょう。
シクラメンの葉組み
上手にできると購入時のように花が中央に集まったきれいな株姿になり、球根にも日光が当たるようになります。
葉組みのあと1週間程度は、球根を強い紫外線に当てないよう置き場所に注意してください。

おすすめの鉢植えシクラメン

シクラメン アルーレ

分類:サクラソウ科シクラメン属

中輪で存在感ある華やかな花を咲かせるシクラメン アルーレ。特にシクラメン アルーレ レッドとシクラメン アルーレ ラベンダーは強健な性質で育てやすく、シクラメンに苦手意識がある方や初めてシクラメンを育てる方におすすめです。

シクラメン ペチコート

分類:サクラソウ科シクラメン属

シクラメン ペチコートは下向きに咲くベル型の花が愛らしいミニシクラメン。ふんわり広がったスカートのような軽やかな花姿だけでなく、花弁内側の模様も美しいシクラメンです。花色はピンクやホワイト系のほか、青みが強いダークバイオレットなど印象的なものも。鉢の色もコーディネートして楽しんでください。

シクラメン クレヨン

分類:サクラソウ科シクラメン属

シクラメン クレヨンはシクラメンに苦手意識がある方でも育てやすいコンパクトサイズのシクラメンです。クレヨンで描いたようなストライプ模様と淡く美しいグラデーションが特徴です。ひとつの株でさまざまな表情を楽しめます。

イリュージア

分類:サクラソウ科シクラメン属

フラワートライアルジャパンで、フラワートライアルアワード2023植物部門のGold賞を受賞した画期的なシクラメン。従来のシクラメンとは異なり、ピンク色の花が上向きで咲く姿はまるで桜の花のよう。世界に先駆けて2023年に日本で先行販売され、2024年から本格販売開始します。一輪の花もちも良く、たくさんの花が咲いている姿はフラワーブーケのようで、とても華やかな魅力たっぷりのシクラメンです。

シクラメン リリベル

分類:サクラソウ科シクラメン属

コンパクトタイプのミニシクラメンを楽しみたい方におすすめなのがシクラメン リリベル。ビクトリアタイプのフリンジ花に白い縁取りがあり、優雅で上品なかわいさをあわせ持つシクラメンです。

シクラメン ジックス

分類:サクラソウ科シクラメン属

鮮やかな色の花弁と白い花のような形のがくとのコントラストが美しい品種です。真横から見るよりも、やや上から見ると花姿が印象的。目線よりも低い位置に置いて眺めたいシクラメンです。
また、連続開花性に優れていて次々と花が上がってくるのも魅力。花もちが良いので長く楽しめます。

まとめ

毎年新しい品種がたくさん登場しているシクラメン。花色や花姿、全体のシルエットなどもさまざまで、中には「いままで見たことがない!」という珍しい品種も出ています。ぜひお気に入りのシクラメンを見つけて、上手にお手入れしながら長く楽しんでくださいね。