春が訪れ、バラの蕾が徐々に姿を現し始めると、いよいよ待ちに望んだバラの開花が近づいてきます。しかし、そんなその喜びもつかの間。突然、蕾がカリカリに枯れてしまった経験はありませんか。実は、それはクロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)の仕業かもしれません。

「残念だわ」と途方に暮れている場合ではありません。なぜなら、この問題を長く放置しておくと、新芽が出る度にクロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)にやられてしまい、今シーズンバラを見ることなく終わってしまうこともあるんです。

クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)とは

クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)かも

クロケシツブチョッキリは、象の鼻のように長い口吻(口)を持つゾウムシの仲間の一種で、体長2~3mmの甲虫になります。その細長い口でバラの葉や蕾に穴を開け、エキスを吸い、新芽や蕾を枯らしていきます。

クロケシツブチョッキリは、バラに被害を与えることから別名:バラゾウムシの名でも知られています。バラの他にも、ノイバラやサルスベリなどにも被害を及ぼします。早春から夏にかけて新芽や蕾など軟らかい部分に産卵し、その部位をカリカリに枯らしてしまいます。

クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)がバラの蕾に卵を産む理由

バラゾウムシがバラの蕾に卵を産む理由は、いくつかの要因が考えられます。

バラゾウムシの幼虫は、バラの新芽や蕾を食べて生長します。そのため、幼虫が生まれた時から食物に不自由することのないよう、バラの蕾に卵を産むのです。さらにバラの蕾はシェルターのような役割を果たします。バラの蕾の中に産卵することで、外敵から卵を守り、次世代に生命を繋げていくのです。

クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)の予防方法

殺虫殺菌スプレーで予防しましょう

クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)かも 防除スプレー

バラの蕾が見え始めたら、定期的に殺虫殺菌効果があるスプレーを株全体に散布するようにしましょう。最近は、オーガニック(天然素材)の害虫予防スプレーも出回っているので、そういったものを選ぶのもいいですね。

捕獲して抹殺しましょう

もしなるべく薬剤を利用したくない場合は、バラの蕾が見え始める頃からお庭をパトロールして、バラゾウムシが発生していないか定期的に観察するようにしましょう。バラゾウムシは、被害が拡大する前に発見し駆除することが肝心です。

クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)の駆除方法

バラゾウムシは大量発生することはないのですが、数匹いるだけで大きな被害になる可能性があります。蕾が黒くカリカリになっているのを見つけたら、被害が拡大する前にバラソウムシを駆除しましょう。駆除方法は大きく分けて2通りがあります。

殺虫剤を使いましょう

バラゾウムシに効果がある殺虫剤を散布しましょう。その際は、バラゾウムシが隠れやすい葉の裏にもまんべんなく散布するようにしましょう。

バラの薬害

殺虫剤は、即効性が高いのですが、たくさん使い過ぎると葉が縮んだりよじれるといった薬害も発生することがあります。その場合は水をかけて薬を薄めましょう。

捕獲して抹殺しましょう

もしなるべく薬剤を利用したくない場合は、バラソウムシを捕獲して抹殺するようにしましょう。

バラゾウムシは危険を感じると、一定時間体が固まって動けなくなる性質があります。その性質を利用して、バラソウムシを捕獲するには、枝を叩いてある程度の衝撃を与えて落とす方法がおすすめです。優しく揺らす程度では飛んで逃げてしまいます。枝を傷つけてしまわない程度に、叩く時にはある程度の勢いをつけましょう。

クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)かも

注意すべきことは、捕獲したらすぐに抹殺しないと被害は減らないことです。バラゾウムシは小さくて地面に落ちると分からなくなるので、地面に新聞紙を敷いたり、傘をさかさにしてキャッチするなどして逃げられないようにしましょう。

捕獲したバラゾウムシは、指で簡単に潰して抹殺することができます。人間に害はないので安心して抹殺することができますが、抵抗がある方はビニール袋に入れて捨てるようにしましょう。

また、カリカリに枯れた部位は、二度と再生することはありません。卵が産み付けられている可能性もあるので、来年の被害を食い止めるためにも、取り除いてビニール袋に入れて捨てましょう。

クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)の潜んでいる場所

バラゾウムシは、柔らかい新芽や花芽のある枝の先端、若い葉の裏によく潜んでいます。2~3mmの黒色や茶色の塊を見つけたら、きっとそれがバラゾウムシです。

まとめ

バラを初めて育てる方にとって、害虫駆除は何よりのストレスになってしまうかもしれません。バラを初めて育てるバラ初心者の方が楽しくバラの庭を楽しむためのポイントは、病害虫に強い品種を選ぶことにあります。

ただ、薬剤散布をほとんど必要としないと「殿堂入りのバラ」評価されたフラワーカーペット® ローズでさえ、クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)には注意が必要です。今年もたくさんのバラを咲かせるために、4月~8月頃クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)の被害拡大を食い止めるようにしてくださいね。