「花の女王」バラ。バラの雑誌や本を読んでみると、HTやFといった暗号がずらりと並び、難しいと感じた方も多くみえるのではないでしょうか。バラは実に20,000以上の種類があると言われており、バラを初めて育てる方にとっては、何から手をつけたらいいのか分からなくなるものです。

バラの系統や分類

ここではたくさんあるバラの種類の中からこれだけ押さえれば大丈夫!という代表的なバラの系統や分類をご紹介します。バラを初めて育てる方におすすめの品種もご紹介するので、是非参考にしてみてくださいね。

バラの大分類

バラの系統や分類

バラにはその長く培ってきた歴史から、ワイルドローズ(野生種)オールドローズモダンローズに大きく分類されます。

1
ワイルドローズ(野生種)

ワイルドローズは原種や野生種ともいい、世界中に200もの種類があると言われています。主に北半球に分布し、その多くはアジア原産で、日本の気候でも育てやすいと言われています。

2
オールドローズ

古代ペルシャの時代から、香料や薬用としてバラの栽培が始まりました。1867年以前に作出された原種のバラを親に持つバラをオールドローズと呼びます。そのほとんどの種類が、春のみに咲く一季咲き性のバラです。

3
モダンローズ

1867年に作出されたハイブリッド ティー種である「ラ・フランス」以降に開発されたバラを、モダンローズと呼びます。春から秋まで花が咲く四季咲き性で大輪や小輪の房咲き性のボリュームあるバラが多くあります。

まずは、この大分類を抑えておきましょう。もう少し詳しく知りたい方は、ここより下も読んでみてくださいね。

バラの系統図

20,000種類以上あると言われるバラですが、歴史をさかのぼっていくと大きく分けて数種類に分類することができます。バラの歴史に大きな影響を与えた代表的な系統の、有力な諸説をもとに作成した系統図は以下を参考にしてみてください。

バラの系統図ハイブリッドティーができるまで

バラの歴史には様々な諸説があるため、実際とは異なる場合もあります。大まかな系統図として参考にしてくださいね。

バラの系統

バラの系統や分類

ここからは、それぞれの系統がどういった歴史を追って誕生したのか誕生ストーリーと特徴をご紹介します。花の咲き方や樹形、香り、花の大きさは、それが全てではなく主にそういった傾向があると捉えてくださいね。

オールドローズ

系統名分類
記号
咲き方樹形香り花の
大きさ(※)
ガリカG一季咲き半つる性
~木立ち性
中輪
ダマスクD一季咲き半つる性中輪
アルバA一季咲き木立ち性中輪
ケンティフォーリアC一季咲きつる性中輪
モスM一季咲きつる性中輪
チャイナCh主に四季咲きつる性
~木立ち性
中輪
~大輪
ティーT主に四季咲きつる性
~木立ち性
中輪
ポートランドP返り咲き半つる性
~木立ち性
中輪
ブルボンB返り咲き
~四季咲き
つる性、
半つる性
中輪
ノワゼットN返り咲き
~四季咲き
つる性、
半つる性
中輪
ハイブリッド
パーペチュアル
HP繰り返し咲き
~四季咲き
つる性、
~木立ち性
中輪
~大輪

※小輪:花径3~5cm、中輪:花径5~8cm、大輪:花径8~13cm

ガリカ(G)系統

ガリカ系統は、西洋で野生種ロサ・ガリカをもとに育成された系統で、最古の庭バラと言われています。1400年代に王位継承を巡って争そったバラ戦争でランカスター家が紋章としたバラもガリカ系統になります。樹高1m前後の木立ち性の樹形が多いのですが、つる性のバラもあります。

ダマスク(D)系統

ダマスク系統は、高貴な香りが特徴のバラです。1.野生種ロサ・ガリカとロサ・フォエニキアの自然交雑によって誕生した。2.野生種ロサ・ガリカとロサモスカータの交雑によって生まれたという2つの諸説が有力とされています。はっきりしたとげがあり、やや開典型の樹形をしています。

アルバ(A)系統

アルバ系統は、ロサ・アルバをもとに育成された系統で、バラ戦争でヨーク家が記章として掲げた白バラとして有名です。アルバはラテン語で「白」を意味し、木は直立でとげが少ないことが特徴です。

ケンティフォーリア(C)系統

ケンティフォーリア系統は、ロサ・ケンティフォーリアをもとに育成された系統で、花弁数が多く枝が少ないことが特徴です。その名の通り、ケンティフォーリアは「100枚もの花弁」を意味し、花弁数が多いことから日本では、百弁バラセイヨウバラと呼ばれています。

モス(M)系統

モス系統は、蕾や花首、茎に苔(モス)状の繊毛を持つのがモス系統のバラです。ロサ・ケンティーフォリアから派生した枝変わりしたバラの系統で、花弁数が多くオールドローズらしい優雅な魅力があります。

チャイナ(Ch)系統

中国のバラの中でも野生種ロサ・キネンシスに由来する系統をチャイナ系統と呼びます。交配により多くのバラの品種を四季咲きに導いたバラとして有名で、とげが少ないのが特徴です。

ティー(T)系統

中国のバラの中でも野生種ロサ・ギガンティアに由来する紅茶(ティー)の香りが特徴のバラです。チャイナ系統とティー系統を併せてチャイナ系統と呼ぶ場合もあります。

ポートランド(P)系統

西洋初期のオールドローズとチャイナローズが関係していると言われているのが、ポートランド系統です。主に遅咲きの半つる性~木立ち性で、ハイブリッド パーペチュアル系統へと引き継いでいく系統になります。ロゼット咲きのロマンチックな花形のバラが多くあります。

ロゼット咲きとは、花びらが放射線状に伸び、中心に近づくほど密に花びらが並んでいる華やかな咲き方です。

ブルボン(B)系統

ブルボン系統は、19世紀初期にインド洋のブルボン島で発見されたオータム・ダマスクとチャイナ系統の自然交雑によって育成されてきた系統です。光沢ある葉がバラをひきたて、返り咲き性が高い品種が多くあります。

ノワゼット(N)系統

ティー系統やブルボン系統などとの交配が行われ、アメリカで生み出された系統です。茎にはとげが少なく比較的長く開花する性質があります。返り咲き性から四季咲き性のものまであります。

ハイブリッド パーペチュアル(HP)系統

ハイブリッド パーペチュアル系統は、チャイナ系統にポートランド系統やブルボン系統を交雑したオールドローズの最終系とも呼ばれる系統です。オールドローズの中で最も多様な花形を持ち、樹形も様々なものがあります。

モダンローズ

1875年に誕生した「ラ・フランス」によって、バラの歴史は大きく変わります。それ以来、1875年以降に誕生したバラは、総称してモダンローズと呼ばれます。

系統名分類
記号
咲き方樹形香り花の
大きさ(※)
ハイブリッド ティーHT四季咲き木立ち性大輪
ポリアンサPol四季咲き半つる性
~木立ち性
弱~中小輪房咲き
フロリパンダF四季咲き木立ち性中輪房咲き
ラージフラワードクライマーLCl返り咲き
~四季咲き
つる性大輪
ミニチュアMin四季咲き木立ち性小輪房咲き
シュラブS様々様々様々様々

※小輪:花径3~5cm、中輪:花径5~8cm、大輪:花径8~13cm

ハイブリッド ティー(HT)系統

フランスの育種家ギョーにより発表された「ラ・フランス」によって新たなバラの歴史(=モダンローズの歴史)が始まりました。完全な四季咲き性の大輪1輪咲きが特徴で、オールドローズとは次元の異なるバラとして世界中の注目を集めました。ハイブリッド パーペチュアル(HP)系統とティー(T)系統の交雑で誕生した、バラの歴史的にも大変重要な系統になります。

ポリアンサ(Pol)系統

ポリアンサとは「たくさんの花」を意味します。ポリアンサ(Pol)系統は、日本に自生した原種ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)とチャイナ(Ch)系統との交雑などによって生まれた大変花つきがよい房咲きの小輪の系統になります。

フロリパンダ(F)系統

フロリパンダとは、「花束」を意味します。フロリパンダ(F)系統は、ハイブリッド ティー(HT)系統とポリアンサ(Pol)系統の交雑によって誕生したガーデンローズで、今までにない花付きの良さと強靭さが特徴です。

ラージフラワードクライマー(LCl)系統

ラージフラワードクライマー(LCl)系統は、ハイブリッド ティー(HT)系統やフロリバンダ(F)系統などが交雑されて誕生した系統で、大輪咲きのクライミングローズ(つる性バラ)です。

ミニチュア(Min)系統

ミニチュア(Min)系統は、ロサ・キネンシス(コウシンバラ)とポリアンサ(Pol)系統の交雑によって誕生した小輪で花も小さく樹高も大きくならない系統です。

シュラブ(S)系統

シュラブは広義では木立ち性のバラを意味しますが、狭義にはモダンローズのどこの系統にも属さない系統をまとめて呼ぶことがあります。そのためシュラブ系統は、花の咲き方も樹形も多様な種類が存在します。

初めて育てるのにおすすめのバラ

バラには多くの品種があり、たくさんの系統に分かれていますが、初めてバラを育てるのに一番気をつけたいポイントは、病気に強いバラを選ぶことです。

他の花苗と比べると、バラはどうしても病害虫対策や剪定などお手入れに時間がかかります。お手入れ簡単で育てやすい点も重要になります。

そこで、初めてバラを育てる方におすすめなのが、フラワーカーペット® ローズというモダンローズです。四季咲き性で春から晩秋までつぎつぎと花がたくさんつき、一年を通してバラのある空間を楽しめます。
また、バラの大敵であるウドンコ病黒星病にも強く、「バラ=手入れが大変」という常識を覆した、バラを初めて育てる方におすすめな多花性のバラです。

流通時期は秋!10.5cmのロングポリポット苗(鉢苗)で販売しています。初めてバラ栽培に挑戦する方も、翌春にはローズガーデンを楽しむことができますよ。

フラワーカーペット ローズ ピンク

分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybrid

2022年代19回世界バラ会議アデレート会議でバラの殿堂入りを果たした、フラワーカーペット ローズ シリーズの先駆けの品種がフラワーカーペット ローズ ピンクです。
これまで育種されたバラの中で最も耐病性のあるバラの1つで、薬剤散布や剪定、花がら摘みなどの手間が最小限で済みます。
 

フラワーカーペット ローズ アップルブロッサム

分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybrid

フラワーカーペット ローズ アップルブロッサムは、透き通るような柔らかいピンク色で、花径約4cmの花をひと房に15~18輪つけ、春から晩秋まで長く見応えたっぷりの花を楽しめます。
 

フラワーカーペット ローズ ゴールド

分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybrid

5品種あるフラワーカーペット ローズの中でもっとも生育が旺盛なのがこのフラワーカーペット ローズ ゴールドです。花径5~6cmと大きめの重厚感のあるイエローカラーの花を咲かせます。
 

フラワーカーペット ローズ スカーレット

分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybrid

フラワーカーペット ローズ スカーレットは、2006年のADRにて耐病性パフォーマンスで最高賞を受賞した品種です。バラの象徴色ともされる赤色のスカーレットは、昔から人気ある品種で、3~4cmの花を株いっぱいに咲かせます。
 

フラワーカーペット ローズ ピンクスプラッシュ

分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybrid

フラワーカーペット ローズ ピンクスプラッシュは、濃いピンクと薄いピンクのストライプ模様を楽しめる素敵なガーデンローズです。
 

まとめ

バラにはたくさんの種類があるけど、抑えるべきは数種類の系統だけなんだと感じていただけたら幸いです。新しい原種が発見されない限りは、今後増えていくバラはすべてモダンローズになります。

そして、樹形や咲き方から具体的にバラを選んでいく際に抑えるべきポイントを以下にまとめているので、是非参考にしてみてくださいね。