YUI MARU(ゆいまーる)とは

左からハクサン 水野勝義代表、
スクネベルト社 Peter van de Pol代表、
矢祭園芸 金澤美浩代表

YUI MARU(ゆいまーる)は、日本の育種家、ハクサン、そしてオランダのSchoneveld Breedingが、長い年月をかけて築いてきた信頼と協力から生まれた国際共同育種プロジェクトです。

「ゆいまーる」とは、沖縄の言葉で「助け合い」「共同作業」「互いに力を合わせること」を意味します。
その名には、国や文化、言葉、仕事の進め方の違いを越えて、一つの新しい花を生み出していくという想いが込められています。

日本の花の育種には、世界に誇る繊細な感性と創造力があります。
花が咲き始める瞬間に現れるわずかな兆し。花弁の重なり方、色のにじみ、香り、草姿、そしてまだ誰も価値に気づいていない小さな変化。日本の育種家は、そうした微細な可能性を見つけ出し、長い年月をかけて一つの品種へと育て上げてきました。

その感性は、単なる技術ではありません。
自然を見つめ、変化を待ち、偶然の中に未来を見出す、日本の園芸文化そのものです。
日本各地の生産現場で、育種家たちは日々植物と向き合い、わずかな違いの中に次の時代の可能性を探し続けています。

ハクサンが日本の育種家を、世界とつなげる架け橋に

しかし、その創造力を持続可能なビジネスとして成立させることは、決して簡単ではありません。
日本の園芸業界は、人口減少や市場規模の縮小、消費行動の変化、生産コストの上昇など、厳しい市場環境の中にあります。
どれほど優れた品種を生み出しても、国内市場だけで投資を回収し、次の育種へつなげていくことは難しくなっています。

育種には、長い時間が必要です。
一つの形質を見つけ、交配し、選抜し、評価し、さらに次の世代へつなぐ。その積み重ねには、多くの労力と年月がかかります。
それにもかかわらず、市場が十分に広がらなければ、その努力が正当に報われにくいという現実があります。

しかし、その創造力を持続可能なビジネスとして成立させることは、決して簡単ではありません。
日本の園芸業界は、人口減少や市場規模の縮小、消費行動の変化、生産コストの上昇など、厳しい市場環境の中にあります。
どれほど優れた品種を生み出しても、国内市場だけで投資を回収し、次の育種へつなげていくことは難しくなっています。

YUI MARUは、こうした時代において、日本の育種家がビジネスとして生き残り、さらに未来へ挑戦していくための一つの回答です。

日本の育種家が生み出した独創的な遺伝資源を、国内だけに閉じ込めるのではなく、世界市場へ広げていく。
そして、その価値を正しく評価し、次の育種へ還元していく。
YUI MARUは、創造性を守り、育て、世界へ届けるための新しい仕組みです。

その実現には、海外の育種会社が持つ高度な技術と、グローバルな市場展開力が不可欠でした。
Schoneveld Breedingは、F1種子化に関する高い技術と、世界へ品種を届けるネットワークを持つ育種会社です。

日本の育種家が見出した唯一無二の形質を、F1種子系品種として安定供給できる形へと高め、世界中の生産者が栽培できる品種へと磨き上げる。
その技術と経験があるからこそ、日本で生まれた花の可能性は、国境を越えて広がっていきます。

ただし、YUI MARUは単なる技術提携ではありません。
日本の育種家と海外の育種チームが本当の意味で協力するためには、信頼が必要です。
育種に対する考え方、品種への向き合い方、知的財産や利益配分への考え方、そして花に込める想い。
文化も商習慣も異なる人々が、互いを理解し、安心して未来を託し合う関係になるには、時間がかかります。

YUI MARUは、一朝一夕に生まれたプロジェクトではありません。
ハクサンは10年以上にわたり、日本の育種家とSchoneveld Breedingの育種チームとの間に立ち、双方の理解と信頼が少しずつ深まっていく過程を支えてきました。

それは、単に品種を紹介することではありません。
日本の育種家が大切にしてきた創造性や想いを海外の育種チームへ伝えること。
Schoneveld Breedingの技術や考え方を日本側へ丁寧に共有すること。
そして、育種家の価値が正しく扱われ、将来にわたって持続可能なビジネスとして成り立つよう、仕組みを整えていくこと。
YUI MARUの背景には、そうした長い対話と調整の積み重ねがあります。

第一弾、八重咲き芳香シクラメン Geminy(ジェミニ)

このプロジェクトの第一弾となる品種が、八重咲きフレグラントシクラメン Geminy(ジェミニ) です。
Geminyは、このたび旭日単光章を受章された、日本を代表する育種家のお一人である矢祭園芸の金澤美浩(かなざわ よしひろ)さんと、Schoneveld Breedingとの共作から生まれました。

金澤さんは、福島県矢祭町で長年にわたり花の生産と育種に取り組んできた育種家です。
シクラメンをはじめ、カーネーション、プリムラ、ダイアンサスなど、数多くの植物で独創的な品種を生み出してきました。
なかでも、金澤さんの育種を象徴するものの一つが、八重咲きシクラメンです。

幾重にも重なる花弁。やさしく華やかな姿。長く楽しめる花もち。
その一輪の奥には、長年の観察、交配、選抜、そして育種家としての揺るぎない探求心があります。

八重咲きシクラメンは、美しさだけでなく、花が長く楽しめるという大きな魅力を持っています。
一輪一輪が長く咲き続け、次々と花を重ねていく姿は、見る人に豊かな時間を届けてくれます。
その魅力は、長い年月をかけて植物と向き合い続けてきた育種家だからこそ見出すことのできた価値です。

Geminyは、金澤さんが長年かけて育ててきた八重咲きシクラメンの魅力を、Schoneveld BreedingのF1種子化技術によって安定供給できる品種へと高めたものです。
日本で生まれた繊細で独創的な花の可能性が、オランダの高度な育種技術と出会い、世界へ届けられる品種となりました。

日本で生まれた花が、オランダでF1種子化され、再び日本の市場へ戻ってくる。
その道のりは、単なる海外育種や輸入品種の開発とは異なります。
この花にとって、日本は原点であり、ふるさとです。

ハクサンは、選抜段階からSchoneveld Breedingの育種チームと連携し、何度もオランダへ足を運びながら、日本の生産者、流通、そして花を楽しむお客様にとって価値ある品種となるよう、その過程に寄り添ってきました。

完成した品種を販売するだけではなく、日本の育種家が生み出した花の魅力を理解し、海外の育種技術と結びつけ、日本の市場へ自然な形で橋渡ししていく。
YUI MARUにおけるハクサンの役割は、その長いプロセスを支え続けることにあります。

このプロジェクトが大切にしているのは、技術やビジネスだけではありません。
その中心にあるのは、育種家への敬意です。

一つの花が生まれるまでには、長い時間があります。
数えきれない観察、交配、選抜、失敗、そして挑戦。
そこには、育種家の人生そのものともいえる積み重ねがあります。

YUI MARUは、その創造性をただ利用するのではなく、正しく評価し、世界へ届け、次の世代へつなげていくためのプロジェクトです。

日本の育種家が生み出した価値を、世界市場で花開かせる。
そして、その成果を関係者で分かち合い、次の育種へとつなげていく。
それは、厳しい園芸業界の中で、日本の育種家が希望を持って育種を続けていくための、新しい選択肢でもあります。

プロジェクトロゴに込められた想い

YUI MARUのロゴにも、この物語が込められています。
日本を象徴する日の丸のイメージと、Schoneveld Breedingのロゴに由来するXとY。
二つの要素が一つに重なることで、日本とオランダ、育種家と企業、感性と技術が結びつき、新しい遺伝的価値を生み出すことを表現しています。

「MARU」は、円であり、輪でもあります。
人と人がつながる輪。
国を越えて広がる協力の輪。
育種家の想いが、生産者へ、流通へ、そして世界中の花を愛する人々へとめぐっていく輪。
YUI MARUという名には、そうした循環と調和の意味も込められています。

YUI MARUは、単なるブランド名ではありません。
それは、日本の育種文化が世界へ羽ばたくための扉です。

これからの園芸産業における、新しい国際協業のかたち

福島県矢祭町の温室で、長い年月をかけて育まれてきた一つの花の可能性。
その可能性を信じた育種家のまなざし。
文化の違いを越えて信頼を築いてきたSchoneveld Breedingの育種チーム。
そして、その両者をつなぎ、日本の市場へふさわしい形で届けるために歩み続けてきたハクサン。

Geminyは、そのすべてが結ばれて生まれた、YUI MARU第一弾の花です。

YUI MARU – Created from the spirit of cooperation.
協力の精神から生まれた花。
互いを尊重し、技術を持ち寄り、価値を分かち合い、まだ世界が見たことのない美しさを一緒に生み出す。
YUI MARUは、これからの園芸産業における、新しい国際協業のかたちです。

スクネベルト社の自信作です

schoneveld-breeding

オランダのスクネベルト社は、1930年から⾧きに渡りシクラメンの育種に特化し、生産性の高い品種を次々に育種を続けシクラメン業界に革新をもたらした会社です。長年培ってきた歴史を受け継ぎつつ、新しい花形・花色を常に追求しユニークな品種を数々発表しています。現在は、次世代の生産者やこれからの花の愛好者を育成するために花育プログラムにも取り組んでいます。

代表作として、発売当初より人気があるベル型の花が特徴的なシクラメン ペチコートや、花弁が反転せず傘状に開花するシクラメン ジックスなどがあります。

YUIMARUから生まれた品種