ガーデナーの皆さんであれば、一度はバラが咲くお庭に憧れたことがありませんか。ただ、「花の女王」として知られ多くの人が憧れるバラは、その美しさとは裏腹にお手入れが大変というイメージもあり、ただ憧れだけで終わっている方も多いのではないでしょうか。
実は近年育てやすいバラが次々に改良され、上手にバラの品種を選べば、「バラは難しい」だけで終わることも随分と少なくなってきました。ここでは、初めてバラを育てる方に向け、失敗しないバラの選び方をご紹介します。是非参考にして、バラの咲く庭を楽しんでくださいね!
バラの選び方
バラは選ぶ品種によって育ち方が大きく異なります。最初に植える場所をよく考えて、育った姿をイメージしましょう。
場所が決まったら、まずは、鉢植えで育てるのか地植えで育てるのかを決めましょう。それぞれのメリットとデメリットを紹介するので、参考にしてみてください。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
鉢植え | ・省スペースで育てられる ・移動ができる | ・植え替えが必要になる ・大きく仕立てられない |
地植え | ・水やりなどのお手入れが簡単 ・大きく育てることができる | ・移動ができない ・大きくなり過ぎることがある |
鉢植えで育てる場合
初めてバラを育てる人には、まず鉢植えで育ててみましょう。何故なら、鉢植えで育てる方が移動ができ、限られた培養土で育てることができるのでガーデニングの失敗が少なくすみます。さらに、もし失敗したとしても何が悪かったのか原因を探りやすくなり、気づいたら庭中が病害虫だらけといったことを回避できます。いつか地植えで育ててみたいと考えている場合には、まず鉢植えで育ててみて育て方のコツを掴み成長が安定したなと感じた頃に、地植えにしてみましょう。
長く鉢植えでバラを育てる場合は、生育旺盛なつる性のバラなどを植えてしまうと手に負えなくなることもあります。あまり大きくなりすぎない木立性や半つる性のバラや、オールドローズの性質を受け継いだミニバラなどがよいでしょう。
鉢植えで大きな花を楽しむために開発されたポットローズ インフィニティ® ローズなどの品種もおすすめです。
地植えで育てる場合
地植えで育てる場合は、植える場所によって品種選びも変わってきます。
壁面などにダイナミックに這わせたいのならつる性のバラを、庭のフォーカルポイントとしてほかの植物と合わせて植えたいのであれば大きくなりすぎずオベリスクなどに収まる半つる性のバラを選ぶと安心です。また、アーチやフェンス、パーゴラなどに絡ませる場合は、とげが少なく枝が柔らかい、誘引作業をしやすい品種を選ぶとよいでしょう。
バラの種類
バラの樹形
つる性、半つる性、木立ち性と初めてバラ栽培をする人にとっては、初めて聞く言葉が出てきましたが、バラを選ぶ時にまず確認してもらいたいのが、これらのバラの樹形になります。初心者の方には、誘引作業の必要がない木立ち性のバラがおすすめです。
つる性のバラ | つる性のバラとは、枝が長く伸びるつる性のバラで、クライマーとも呼ばれます。壁面や大きなフェンスなどに誘引すると美しい景観を作り出してくれます。つる性のバラは、休眠期である寒い冬に誘引作業をしなくてはいけません。誘引作業をする時間が取れない方は、プロにお手入れを依頼するか、半つる性のバラや木立ち性のバラを選ぶといいでしょう。 |
半つる性のバラ | 半つる性のバラとは、つる性と木立ち性の中間の樹形になる半つる性のバラでシュラブとも呼ばれます。品種や育てている環境、仕立て方などにより枝の伸び具合も異なり、中にはつる性のバラのように育つものもあります。オベリスクなどに誘引して楽しむことができ、つる性のバラの雰囲気を味わいたいけれどあまり伸びるのは困るという方にも向いています。 |
木立ち性のバラ | 木立ち性のバラには、枝がまっすぐ伸びるものや横に広がるものなど、さまざまな樹形がありますが、つるバラのように枝が伸びることはなく直線的な印象を持ち、ブッシュとも呼ばれます。誘引作業の必要がなく、鉢植えや支えのない花壇の中央などでも楽しむことができます。 |
バラの開花期
また、バラを選ぶ上で重要な要素の1つが開花期で「一季咲き」「返り咲き」「繰り返し咲き」「四季咲き」に分けられます。長く咲く方が育てるモチベーションも長く保てるので、初心者の方には「四季咲き」をおすすめします。
一季咲き性 | 一年に一度、春のみに開花するのが一季咲き性のバラです。原種のバラやオールドローズ、つるバラの多くが一季咲き性で、花が咲いている時期以外は株に栄養分を蓄えることにエネルギーが使われます。そのため春に株一面に花が咲く姿は圧巻です!花が咲き終わった後花がらを切り取っても、2番花が咲くことはほぼありません。 |
返り咲き性 | 春の花が咲き終わった後に花がら摘みをすることで、2番花が返り咲くバラを返り咲き性のバラと呼びます。同じ品種でも株の状態や充実度、環境などによりどの程度咲くかは異なります。 |
繰り返し咲き性 | 返り咲き性のバラよりもよく咲くバラを繰り返し咲き性のバラと呼ぶことがあります。品種によってはお手入れ次第で四季咲き性に近い性質を持つものもあります。 |
四季咲き性 | 冬以外の一年を通して花を咲かせるのが四季咲き性のバラです。昨年伸びた枝、今年伸びた枝の両方に花をつけるので(新旧両枝咲き)、花が咲き終わった後花がらを切ることで、そこから伸びた枝に(一般的に40~60日程度で)花が咲きます。春から秋の終わり頃まで一年を通して長く花を楽しめるのが魅力です。 ただ、一年中花が咲き終わったら花がら摘みをしたり病害虫の対策が必要になります。病害虫に強いバラを選んでお手入れをなるべく軽減するようにしましょう。 |
バラが咲いていない時期にも、日当たりが良い場所で育てるようにしましょう。
バラの花型
樹形や開花期の他にも、バラは花の形などによっても様々な品種があります。
花弁が尖っている剣弁や丸みがある花弁をもつ丸弁などがあります。
中心が高い高芯咲きやオールドローズのようなカップ咲き、モッコウバラのようなポンポン咲きなどがあります。
バラは、花びらの数が5~9枚程度でそれぞれ重なることがない咲き方を一重咲き、花びら数が10〜19枚程度で多少花びらを重ねて咲く咲き方を半八重咲き、花びらの数が20枚以上のものを八重咲きと呼びます。花びらの枚数が30枚以上の品種を完全八重咲きと呼ぶこともあります。花びらの重なり方によって、花の重みや印象が随分と違ってきます。
バラの耐病性
バラのお手入れが大変とされる原因の1つが、病害虫の対策が必要なことになります。初めてバラ栽培に挑戦する方は、病害虫に強い品種を選ぶことが、失敗しない大きな秘訣になります。
ただ、どんなに病害虫に強いバラでも、全く心配無用で病害虫対策は必要ないというわけではありません。ですが、随分とお手入れが簡単になり失敗が少なくなるので、なるべく優れた品種を選びましょう。
バラの苗の種類
バラの増やし方には「挿し木」「接ぎ木」「種まき」の3タイプがあります。「挿し木」がもっとも簡単な増やし方ではありますが、バラは根がなかなか張らないため、流通しているバラの苗のほとんどは「接ぎ木」で育てられています。また「種まき」は、バラ栽培に精通した方向けの難しい方法になります。
接ぎ木苗
「接ぎ木」の苗には、大きく分けて「大苗」「新苗」「鉢苗」の3種類があります。大きくは苗の成熟度が違うのですが、流通時期の他にもお手入れの難しさも違ってきます。
大苗
大苗とは、接ぎ木した後、秋まで畑や鉢で育てた株の枝を剪定し、葉のない状態で販売される苗のことです。流通する時期は10月から2月頃までで、ポットに入った状態で売られているポット苗の他に、根がむき出しのままあるいはピートモスで巻いてある根巻き苗があります。根巻き苗は購入後早めに植えつける必要があるため、ローズガーデナー上級者さん向けの苗になります。
なるべく枝の太い苗を選びましょう。枝の太さが均等な苗だと栄養分も偏りに行き届くので、きれいな樹形に育てやすくなります。
大苗は、ある程度大きくなった状態の苗なので春には多くの花を楽しめるメリットがありますが、花や葉がついていないので、実際の花や葉の色、香りなどが具体的に分からず育った姿を想像しにくいというデメリットもあります。
新苗
新苗とは、接ぎ木をした後、春から初夏にかけて流通する葉が芽吹いた状態の若い苗のことです。大苗に比べると茎が細く鉢も小さめです。値段がお手頃な点や小さな苗から育てられるので自分の好みの樹形に仕立てられるといったメリットがあります。また、春の開花期に流通するので花が咲いている場合は実際の花を確認しながら選べることもあります。
しかし、すぐに植え替えや鉢増しが必要であったり、株を充実させるためにも秋まで繰り返し蕾を切り取る必要があり、ローズガーデナー上級者向けの苗になります。
鉢苗
鉢苗とは、大苗や新苗を6~8号鉢のポット苗に植え替えたものです。春に流通する鉢苗は、大苗を冬に鉢に植えたものです。秋に流通する鉢苗は、新苗を鉢で秋まで育てたものです。メリットは花を確認しながら購入でき、ある程度生長しているのでその鉢植えのまましばらく育てても問題ないことから、初めてバラを育てる方におすすめです。デメリットとして、値段が張ることが挙げられます。
なるべく枝数が多いがっしりした株を選びましょう。花数よりも蕾の数が多いものの方が長く開花を楽しめます。
挿し木苗
流通している挿し木苗のほとんどは、開花している花を楽しむ目的で作られたミニバラになります。ただ稀に、丈夫なバラの挿し木苗が売られていることもあります。その場合は、植えつけ適期に販売をしています。買ってきた苗はすぐに植えつけをするようにしましょう。
初めて育てるのにおすすめのバラ
初めてバラを育てる方におすすめの品種は、フラワーカーペット® ローズです。フラワーカーペット® ローズは、世界のベストセラーにもなっているグランドカバーローズで、まるでカーペットのように一面に花を咲かせ、ゴージャスな空間を作り出してくれるバラです。四季咲き性で春から晩秋までつぎつぎと花がたくさんつき、一年を通してバラのある空間を楽しめます。
また、バラの大敵であるウドンコ病や黒星病にも強く、お手入れ簡単で育てやすい点も大きな魅力です。誘引作業も必要なく「バラ=手入れが大変」という常識を覆した、バラを初めて育てる方に特におすすめな半八重咲きの花が大きな房になって咲く多花性のバラです。
驚くべきは、このフラワーカーペット® ローズは、「挿し木」でも根が張る丈夫さを持つことです。「接ぎ木」のテープを剥がすような必要もなく、一般的な花苗と同じように植えつけができることも魅力です。
流通時期は秋!10.5cmのロングポリポット苗(鉢苗)で販売しています。初めてバラ栽培に挑戦する方も、翌春にはローズガーデンを楽しむことができますよ。
フラワーカーペット ローズ ピンク
分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybrid2022年代19回世界バラ会議アデレート会議でバラの殿堂入りを果たした、フラワーカーペット ローズ シリーズの先駆けの品種がフラワーカーペット ローズ ピンクです。
これまで育種されたバラの中で最も耐病性のあるバラの1つで、薬剤散布や剪定、花がら摘みなどの手間が最小限で済みます。
フラワーカーペット ローズ アップルブロッサム
分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybridフラワーカーペット ローズ アップルブロッサムは、透き通るような柔らかいピンク色で、花径約4cmの花をひと房に15~18輪つけ、春から晩秋まで長く見応えたっぷりの花を楽しめます。
フラワーカーペット ローズ ゴールド
分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybrid5品種あるフラワーカーペット ローズの中でもっとも生育が旺盛なのがこのフラワーカーペット ローズ ゴールドです。花径5~6cmと大きめの重厚感のあるイエローカラーの花を咲かせます。
フラワーカーペット ローズ スカーレット
分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybridフラワーカーペット ローズ スカーレットは、2006年のADRにて耐病性パフォーマンスで最高賞を受賞した品種です。バラの象徴色ともされる赤色のスカーレットは、昔から人気ある品種で、3~4cmの花を株いっぱいに咲かせます。
フラワーカーペット ローズ ピンクスプラッシュ
分類:バラ科バラ属 学名: Rosa hybridフラワーカーペット ローズ ピンクスプラッシュは、濃いピンクと薄いピンクのストライプ模様を楽しめる素敵なガーデンローズです。
まとめ
花の色、花の形や葉の色など、バラは品種がたくさんありすぎて、いざ選ぼうとしても迷ってしまうもの。バラ栽培で失敗しないために、初心者さんには病虫害に強く育てやすい品種がおすすめです。育てたい場所が決まったら、適した樹形のバラを選んで、バラのある生活を楽しんでくださいね!
そして、初めてバラ栽培に挑戦する方はこちらの記事を読んで、育ててみてください。少しでも参考になれば幸いです。
もっと詳しくバラについて知りたい場合は、バラを系統別に選んでみるのもいいですね。