クリスマスや年末年始に、エントランスや室内を彩ってくれるシクラメン。中でも丈夫で育てやすいシクラメンはガーデンシクラメンと呼ばれ、日本の冬のガーデニングの1つとして定着してきました。ここではガーデンシクラメンを春まで長く楽しむポイントをご紹介します。
シクラメンとは
シクラメンはサクラソウ科シクラメン属の多年草球根植物です。北アフリカ~地中海沿岸の乾燥した地域に自生していた植物で、現在は品種改良によりさまざまな花形や花色・葉色を楽しめるようになりました。
シクラメンは、豪華な花が長く咲くため、一鉢あれば冬中楽しめるのが大きな魅力です。そのため、冬の間室内をラグジュアリーに彩る花として人気があります。
開花期 | 秋~春 |
原産地 | 北アフリカ~地中海沿岸 |
分類 | サクラソウ科シクラメン属 |
学名 | Cyclamen persicum |
和名 | カガリビバナ、ブタノマンジュウ |
花言葉 | 「遠慮」「清純」「内気」 カラー別にも花言葉があります。 白:「清純」「思いやり」 ピンク:「内気」 赤:「嫉妬」 青:「遠慮」「恥じらい」 |
ガーデンシクラメンとは
シクラメンには、室内で育てる一般的なタイプと、庭など屋外で育てられる耐寒性のあるタイプがあります。
一般的なシクラメンは、10〜20℃でもっとも快適に育ちます。耐寒性が弱く、寒い時期は屋外で育てることができません。室内で鑑賞して楽しみましょう。
一方、寒さに比較的強く品種改良されたシクラメンはガーデンシクラメンと呼ばれ、冬でも花壇やお庭の寄せ植えなどで楽しむことができます。実はガーデンシクラメンは、シクラメン愛好家が多い日本で生まれた新しいシクラメンのカテゴリーで、海外ではシクラメンは屋内で育てる方が主流になります。
ガーデンシクラメンは屋外で育てられるように耐寒性に優れた品種を品種改良されているため、丈夫で育てやすく、シクラメンを初めて育てる方やシクラメンに苦手意識を持っている方にもおすすめです。草丈がありボリュームの出るシクラメンは、それだけでも華やかな雰囲気を演出します。コンパクトなミニシクラメンは冬の寄せ植えにも使いやすいと人気があります。
屋外でシクラメンを育てる際には、購入時にラベルにガーデンシクラメンと記載があるかどうかチェックしてくださいね。
ガーデンシクラメンの選びのポイント
状態の良いシクラメンを選ぶには、いくつかチェックしておきたいポイントがあります。
根がぐらつかない
まずは根がぐらつかないがチェックしましょう。ぐらつく苗はしっかりと根が張っていなかったり根腐れしている可能性もあります。がっしりと根を張っている丈夫な苗を選びましょう。
葉の数が多い
シクラメンは、葉の数だけ花が咲きます。葉が十分に茂り数が多いと、光合成も盛んになり丈夫に育ち、さらにたくさんの花が咲きます。
葉のサイズが揃っている
葉の大きさが均等で揃っているのは、栄養が偏りなく行きわたっている証拠です。そのような株を選べば枯れにくく長く美しい花を楽しめます。
花首の長さが揃っている
花首の長さが揃っているシクラメンは株の姿が美しく見栄えがします。
ウォータースペースが深すぎない
ウォータースペース(土の表面から鉢の縁までの高さ)を深く取りすぎている鉢植えは、株元を葉が塞いでしまうため蒸れやすくなります。蒸れると病気が発生しやすいので、株元を購入時にチェックしましょう。
ガーデンシクラメンを植える場所
ガーデンシクラメンを地植えにする場合は、1日中よく日の当たる場所、あるいは午前中日が当たり午後は日陰になる場所に植えましょう。いずれも風通しの良い場所を選んでください。レイズドベッドやロックガーデンに植えるのもおすすめです。
ガーデンシクラメンはある程度耐寒性がありますが霜が降りると株が傷んでしまうため、寒さが厳しい時は不織布などで防寒対策をしてください。
鉢植えで育てる場合は、日当たりの良い場所で十分太陽の光に当てましょう。日当たりが良いと連続して花芽があがり長い間花を楽しめます。雨天時や寒い日は軒下など雨や霜を防げる場所に移動させてください。
ガーデンシクラメンの植え方
鉢植えにする際は購入した苗が植えられている鉢より、二回り(直径6cm程度)大きな鉢を選びましょう。
もともと通気性がよい鉢であれば、鉢底石を入れなくても大丈夫です。
赤玉土主体の培養土を入れていきます。植える際は鉢植え・地植えとも元肥を十分に施し、害虫予防のために殺虫剤も混ぜておきましょう。
ある程度土を入れたら、その上に苗を乗せて高さを調整します。深植えにならないように注意してウォータースペースを取り、根を崩さないで苗を乗せ、残りの隙間に土を入れていきます。
シクラメンが苦手なのが蒸れと過湿です。蒸れを防ぐためにも、球根の頭が土の上に出るぐらい高めに植えて病気を予防しましょう。
最後に鉢底から流れ出るまで水をあげます。
ガーデンシクラメンの普段のお手入れ
ガーデンシクラメンの水のやり方
シクラメンは過湿が苦手です。水のやり過ぎに注意しましょう。
花や葉にかかった水がなかなか乾かないと灰色カビ病や軟腐病という病気にかかりやすくなります。
水やりは土が乾燥してから、鉢底から流れ出るまでたっぷりと。花や葉、球根に水がかからないように注意して、直接土に水やりをしてください。その点、底面灌水はそのような心配がないのでおすすめです。
ガーデンシクラメンの肥料のあげ方
開花中は、1,000~2,000倍に希釈した液体肥料を1~2週間ごとにあげるようにしましょう。
ガーデンシクラメンの花がら摘み
ガーデンシクラメンも、一般的なシクラメンと同じように花が咲き終わったら花がらを取り除きましょう。花がら摘みをすることで、きれいな花姿をキープしつつ新しい花芽に栄養を行き渡らせ、病害虫を防ぐことができます。
茎の根元から取り除く方法
シクラメンの花がら摘みは、茎の根元から取り除く方法が一般的です。
花がらはハサミで切り取るのではなく、手でねじって茎の根元から取り除きましょう。ハサミで切り取ると、切った切り口から細菌が入りやすくなるので使用しない方がよいです。
花だけを取り除く方法
プロの生産者さんによっては、茎の根元から花がら摘みをすると球根に細菌が入りやすくなるため花だけを取り除く方法を推奨する方もみえます。
花だけを取り除く場合も、手でねじって花を切り取ってください。
花だけを摘むと、茎がこのように残り、最後カリカリに枯れたら自然に落ちます。こちらの方法は根元から取り除くよりも細菌が入りにくいというメリットがある反面、花がついていた茎が残ってしまうという見栄えでのデメリットもあります。病気の発生をできるだけ防ぎたいという方におすすめです。
ガーデンシクラメンの枯葉取り
花がらと一緒に、枯れた葉も取り除いてきれいにしておきましょう。方法は花がら摘みと同様。根元から軽くひねって引っ張るように引き抜きます。
ガーデンシクラメンの葉組み
葉組みとは
購入当初は中央からきれいに花が立ち上がっていますが、そのうち葉の隙間のいろいろな場所から次々と花が上がり、葉も茂ってくると思います。そうなってきたときに行いたい作業が葉組みです。これはシクラメン特有のお手入れで、風通しを良くして病害虫を防ぎつつ、球根の中心に日光が当たるようにしてシクラメンの成長を促すために行います。シクラメンを長く楽しむために、ぜひマスターしておきましょう。
葉組みのやり方
シクラメンには、シクラメン特有のお手入れで葉組みと呼ばれるものがあります。葉組みには、風通しをよくして病害虫を予防するほかにも、球根の中心に日が当たるようにしてシクラメンの成長を促す目的があります。シクラメンを綺麗に咲かせ続けるには、是非マスターしたいお手入れになります。
シクラメンの葉が生い茂ってきて、球根に日光が当たっていないなと感じたら葉組みをするタイミングです。いろいろな方向を向いて茂っている葉を優しくかき分け、花茎の根元が中心にくるように葉をそっと外側へ移動させていきます。大きな葉を一番外側へ引っ張り出して、その後小さな葉を少しずつ外側へ移動させていきましょう。
上手にできると購入時のように花が中央に集まり、球根に日光が当たるようになります。葉組み後1週間程度は、球根が強い紫外線に当たらないようにしておきましょう。
おすすめのガーデンシクラメン
ここからは、耐寒性や耐病性に優れた育てやすいおすすめのガーデンシクラメンをご紹介します。耐寒性に優れていると言っても、耐えることができる最低温度は3℃程度なので、霜が降りないような場所で育てるようにしてくださいね。
シクラメン ジックス
分類:サクラソウ科シクラメン属鮮やかな色の花弁と白い花のような形のがくとのコントラストが美しい品種です。真横から見るよりも、やや上から見ると花姿が印象的。目線よりも低い位置に置いて眺めたいシクラメンです。
また、連続開花性に優れていて次々と花が上がってくるのも魅力。花もちが良いので長く楽しめます。
シクラメン アロハ
分類:サクラソウ科シクラメン属波打った貝殻のようなぷっくりとした花弁、美しいバイカラーが特徴のシクラメン アロハ。連続開花性に優れているので長く花を楽しめます。強健な性質で灰色かび病にも強いので育てやすい品種です。
シクラメン ゴブレット
分類:サクラソウ科シクラメン属その名の通り、ゴブレットのように開いて咲くバイカラーのシクラメン。光輝くような華やかな色合いで連続開花性にも優れ、長い期間花を楽しめます。灰色かび病に強く育てやすいのも魅力です。
まとめ
華やかな花を長く楽しめるシクラメン。最近は、今までのシクラメンのイメージを覆すようなさまざまな品種も数多く出ています。ガーデンシクラメンは屋外でも楽しめるので、クリスマスやお正月のエントランスを彩る寄せ植えなどにも取り入れてみてくださいね。