ガーデニングにおいて、「春分の日」と「秋分の日」は重要な役割を果たします。

植物は、葉から暗い時間の長さを感じ取り、季節の変化を認識しています。暖冬や冷夏の年もあるため気温から季節を判断するのは難しいのですが、自然界において日の長さにはもっとも安定したバロメーターになります。

秋分の日とは

秋分の日

春分の日と秋分の日は、一年のうちに昼と夜の長さがほぼ同じになる日です。その日を起点に春分の日から日照時間が徐々に長くなっていくのに対して、秋分の日からは日照時間が少しずつ短くなっていきます。秋分の日は、秋の訪れを象徴する日であり、これから冬に向けて夜が長くなることを告げる重要な節目となります。

秋分の日も毎年固定ではなく、年によって変動します。通常、9月22日か23日が秋分の日となります。秋分の日は、太陽が秋分点を通過する瞬間を含む日として定められていますが、地球の自転周期やうるう年の関係で、年ごとに若干のズレが生じるためです。日本では、国立天文台がその年の春分の日や秋分の日を計算し、前年に発表しています。

短日植物とは

短日植物とは、日照時間が短くなることで花芽を形成する植物です。この性質は、秋や冬に花を咲かせるための自然のメカニズムであり、夜の長さが重要な役割を果たしています。

「秋分の日」を過ぎて夜が長くなると、短日植物は季節の変化を感じ取り植物ホルモン「フロリゲン」を放出し花芽形成を促進します。この現象は「光周性(フォトペリオディズム)」と呼ばれ、植物が季節の変化を感じ取るための重要なプロセスになります。

代表的な短日植物

これらの短日植物は、秋分の日を境に花の準備が本格的に始まります。

キク

ガーデンマム

日本では秋の花として知られる菊は、典型的な短日植物です。日照時間が短くなる秋に花を咲かせるため、日が短くなると自然に開花します。

ポインセチア

ポインセチアの歴史

クリスマスの時期に赤く色づくポインセチアも短日植物です。この植物は、秋に日が短くなることで花芽を形成し、冬に鮮やかな色を見せます。

コスモス

秋を象徴する花であるコスモスも短日植物で、涼しくなり日が短くなると花を咲かせます。

短日植物の開花コントロール

短日植物は、日照時間を調整することで開花時期をコントロールできます。これを「光周期処理」と言います。

長日期の電照

短日植物は、長日期(夜の時間が短い時期)であっても、温室や室内栽培で人工的に光を制御することで、開花反応を起こすことが可能です。

短日期の光管理

シェード管理

短日期(夜の時間が長い時期)に自然に開花するといいのですが、街灯や外灯などの人工光が夜間に当たると、花芽の形成が妨げられることがあります。夜に光が当たらない場所に移動して育てるか、夜間は段ボールや黒いシートを被せて開花を妨げないようにしてあげましょう。

まとめ

短日植物は、花が少なくなっていく秋から冬にかけての庭を美しく彩ります。淋しくなるがちな寒い季節に、喜びをもたらしてくれます。また、短日植物は、一年の中でも限定的な季節に販売されることが多く、市場価値が高い植物がたくさんあります。とびっきりの秋らしいお庭をつくるためにも、「秋分の日」以降は是非短日植物を積極的に取り入れてくださいね。